家庭教師を探していると、「入会金が必要」「1年単位の長期契約」「指定教材の購入が必要」「途中解約には違約金がかかる」といった条件を目にすることがあります。
子どもの成績や受験がかかっていると、「この先生なら成績を上げてくれるかもしれない」「今すぐ決めないと間に合わないかもしれない」という焦りから、その場で契約を結んでしまうこともあるでしょう。
しかし、家庭教師の契約には特定商取引法に基づくルールが適用される場合があります。
後悔のない選択をするために、保護者の方に知っておいていただきたい制度と注意点を解説します。
大阪府が紹介している家庭教師契約の相談事例
大阪府のホームページでは、次のような相談事例が紹介されています。
電話で家庭教師の勧誘を受け、自宅への訪問に応じたところ、家庭教師の派遣契約と教材購入の契約を結ぶことになった。その後、3年間分の教材が届き、契約内容に不安を感じて解約したい。
このように、長期間にわたって継続的にサービスを受け、一定以上の金額を支払う契約は、消費者を保護するために特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当することがあります。
「特定継続的役務提供」とは?
家庭教師(対面・オンライン問わず)の場合、以下の2つの条件を両方満たす契約が対象となります。
- 契約期間:2か月を超えるもの
- 契約金額:総額5万円を超えるもの(授業料だけでなく、入会金や教材費なども含めた合計金額)
また、特定継続的役務提供に該当する場合、事業者には契約内容などを記載した書面を交付することが求められています。
1.契約から8日以内ならクーリング・オフができる
特定継続的役務提供に該当する場合、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内であれば、原則としてクーリング・オフができます。
クーリング・オフは、書面だけでなく、電子メールなどの電磁的記録でも手続き可能です。
教材などの「関連商品」も対象になることがある
家庭教師契約では、授業そのものだけを見ればよいわけではありません。
家庭教師の指導を受けるために購入した教材なども、「関連商品」としてクーリング・オフや中途解約の対象となる場合があります。
たとえば、
- 書籍や教材
- CDやDVDなど
- 一定の通信機器
などです。
特に注意したいのが、
「この教材がないと指導できません」
「数年分をまとめて購入してください」
といった形で、家庭教師契約と教材購入がセットになっているケースです。
大阪府が紹介している事例も、家庭教師の派遣契約と同時に3年間分の教材を購入したケースでした。
家庭教師契約だけでなく、教材についても「いくらかかるのか」「途中で解約した場合どうなるのか」を確認しておくことが重要です。
また、教材などの関連商品については、使用状況によって返金や解約時の扱いが異なる場合があります。
特に、書き込みや開封などによって「使用済み」と判断される可能性もあるため、解約を考えている場合は、できるだけ使用を控え、早めに消費生活センターなどへ相談することをおすすめします。
2.8日を過ぎても中途解約できる
クーリング・オフ期間(8日間)を過ぎた場合でも、契約期間中であれば中途解約が可能です。
また、事業者が請求できる金額には法律上の上限が定められています。
- 指導開始前:2万円まで
- 指導開始後:「すでに提供された授業の対価」+「5万円 または 1か月分の授業料相当額のいずれか低い額」
「1年契約だから残りの授業料をすべて支払ってください」といった請求が、そのまま認められるわけではありません。
契約前に必ず確認したいチェックリスト
家庭教師を選ぶときは、指導内容だけでなく「契約条件の分かりやすさ」も重要です。
事前に以下を確認しておきましょう。
- 最低契約期間はあるか
- 途中で解約できるか
- 解約時に発生する費用はあるか
- 授業料以外の費用(入会金・管理費・紹介料など)はいくらか
- 指定教材の購入は必須か
- 数年分の教材をまとめて購入する必要はないか
- 教材を途中で使わなくなった場合はどうなるか
- 契約期間全体で支払う「総額」はいくらか
「授業料が安い」だけでは判断できない
「1時間あたりの授業料」だけでは、実際の負担額は分かりません。
入会金、管理費、紹介料、教材費、更新料などが別途発生する場合もあります。
単価だけでなく、最終的にいくら支払うことになるのかという「総額」で比較・検討することが大切です。
高額な教材を勧められたら一度確認を
教材販売自体に問題はありません。
その家庭教師サービス独自の教材に、指導上の意味がある場合もあります。
ただし、「この教材がないと指導できない」「3年分を一括購入してください」と求められた場合は、一度立ち止まって確認した方がよいでしょう。
- 本当にその教材が必要か
- 現在のお子様の学力に合っているか
- 途中で志望校や方針が変わった場合はどうなるか
- 中途解約した場合、教材はどのような扱いになるか
確認してから契約しても決して遅くはありません。
家庭教師は「納得してから契約する」
評判の良い先生でも、実際に授業を受けてみないと相性は分かりません。
「今日決めれば入会金無料」といった営業トークだけで急いで決めるのではなく、料金・指導内容・契約期間・教材・解約条件のすべてに納得してからスタートすることが大切です。
契約トラブルで困った場合は、一人で抱え込まず、消費者ホットライン(188)や地域の消費生活センターへ相談してください。
まとめ
家庭教師契約において一定条件を満たす場合、特定商取引法により、
- 契約内容などを記載した書面の交付
- 法定書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフ
- 契約後の中途解約
- 中途解約時の請求上限額
- 教材などの関連商品についての保護
といったルールが定められています。
家庭教師を検討するときには、授業料や指導実績だけでなく、
「契約期間」
「教材費」
「追加費用」
「解約条件」
まで含めて確認することが大切です。
子どもの教育に関する重要な契約だからこそ、保護者の方が十分に納得したうえでスタートできることが大切だと考えています。
【参考】
- 大阪府相談事例
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別契約への法的判断を行うものではありません。具体的な契約トラブルについては、消費生活センターなどへご相談ください。

