2027年度大学入試から、総合型選抜・学校推薦型選抜、いわゆる「年内入試」のルールが変わります。特に注目されるのが、面接による評価の必須化です。これまで学力試験中心で行われてきた公募推薦入試にも影響する可能性があり、受験生は筆記対策だけでなく、志望理由書や面接対策も意識する必要があります。この記事では、文部科学省の資料をもとに、2027年度入試から年内入試がどのように変わるのかを整理します。
総合型選抜・学校推薦型選抜で面接評価が必須化へ
2027年度大学入試から、いわゆる「年内入試」に関するルールが変わります。
対象となるのは、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)です。文部科学省が公表した「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜・学校推薦型選抜について、志望する学問分野に対する意欲や適性などを確認するため、面接による評価を必ず行うことが示されました。【出典1】
ここでいう面接は、一般的な個人面接だけを指すものではありません。ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問なども含まれ、オンラインによる実施も認められています。【出典1】
つまり、今後の年内入試では、単に筆記試験の点数だけで合否が決まるのではなく、志望理由、学ぶ意欲、適性、表現力なども含めて評価される方向がより強まることになります。
なぜ面接評価が必須化されるのか
背景にあるのは、年内入試が本来の趣旨から外れ、実質的に「一般選抜の前倒し」のようになっているのではないか、という問題意識です。
文部科学省は、2026年度入試から、総合型選抜・学校推薦型選抜においても、一定の条件のもとで2月1日より前に教科・科目に係る個別テストを実施することを認めました。ただし、その場合でも、調査書、志願者本人が記載する資料、小論文、面接、実技検査などを組み合わせて、入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価することが求められていました。【出典2】
しかし、大学入学者選抜協議会の文書では、一部の大学において、2月1日より前に行われる教科・科目に係る個別テストの配点割合が著しく高い、あるいは他の評価要素が点数化されていないなど、学力検査に大きく偏った合否判定が見られると指摘されています。【出典2】
さらに同文書では、学力検査が評価・判定の大部分を占める選抜を2月1日より前に実施することは、実質的な「一般選抜の前倒し」であり、大学入学者選抜実施要項の趣旨から許されるものではないとされています。【出典2】
今回の面接評価の必須化は、年内入試を否定するものではありません。むしろ、総合型選抜・学校推薦型選抜を、本来の趣旨である「多面的・総合的な評価」に戻すための変更と見るべきです。
総合型選抜では何が求められるのか
令和9年度大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜について、一般選抜とは異なる観点や方法により評価を行う入試であることが示されています。【出典1】
総合型選抜では、志願者本人が記載する資料を必ず評価に活用するとされています。具体例としては、活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書などが挙げられています。【出典1】
そのため、今後の総合型選抜では、志望理由書や活動報告書を「提出するだけ」の書類として考えるのは危険です。面接では、その内容をもとに、なぜその大学・学部を志望するのか、高校時代に何を学び、入学後に何を深めたいのかを、自分の言葉で説明できることが求められます。
学校推薦型選抜では何が変わるのか
学校推薦型選抜についても、令和9年度大学入学者選抜実施要項では、志望する学問分野に対する意欲や適性などに係る面接による評価を必ず行うとされています。【出典1】
ただし、すべての学校推薦型選抜が一律に同じ扱いになるわけではありません。文部科学省の要項では、高校との緊密な連携により、意欲や適性などを含めて丁寧なマッチングが図られていると考えられる非公募型の学校推薦型選抜で、合格した場合に入学することを確約して受験するものについては、大学の実情に応じて面接の要否を判断できるとされています。【出典1】
この点から考えると、特に影響が大きいのは、公募推薦型の学校推薦型選抜です。これまで学力試験中心で実施されてきた公募推薦入試では、今後、面接、口頭試問、プレゼンテーション、集団討論などが加わる可能性があります。
年内入試はすでに大学入試の中心になっている
年内入試の重要性は、すでに非常に大きくなっています。
文部科学省の「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、大学入学者のうち、総合型選抜による入学者は126,766人で全体の19.5%、学校推薦型選抜による入学者は221,415人で全体の34.1%です。【出典3】
両者を合わせると、大学入学者の53.6%が総合型選抜または学校推薦型選抜による入学者ということになります。
つまり、現在の大学入試は、一般選抜だけを見ていればよい時代ではありません。年内入試は、すでに大学入試全体の半数以上を占める重要な入試方式になっています。
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2027年度入試からの主な変更点を整理すると、次のようになります。

受験生が注意すべきこと
今回の変更により、受験生側の準備も変わります。
これまでの年内入試対策では、英語・国語・数学などの筆記試験対策が中心になりがちでした。もちろん、今後も学力対策が不要になるわけではありません。文部科学省の要項でも、総合型選抜・学校推薦型選抜において、大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力等を適切に評価することが求められています。【出典1】
ただし、今後はそれだけでは不十分です。
特に必要になるのは、志望理由書、活動報告書、面接対策です。
まず、志望理由を明確にする必要があります。
「なぜその大学なのか」「なぜその学部なのか」「入学後に何を学びたいのか」を、大学のアドミッション・ポリシーやカリキュラムと結びつけて説明できるようにしておく必要があります。
次に、高校時代の学びや活動を整理することも大切です。
部活動、探究活動、資格取得、ボランティア、学校生活での経験などを、単なる実績の羅列ではなく、自分の成長や学びにつなげて説明する準備が必要です。
さらに、面接で自分の言葉で話せるようにしておくことが重要です。
志望理由書をきれいに書くだけではなく、その内容について質問されたときに、本人が自然に説明できることが求められます。生成AIなどを使って文章を整えることはできますが、本人の経験や考えと結びついていなければ、面接で答えに詰まる可能性があります。
関西の公募推薦入試にも影響する可能性
関西の私立大学では、公募推薦入試が重要な位置を占めています。11月ごろに実施される公募推薦入試を、年内の大きな受験機会として考えている受験生も少なくありません。
今回の変更により、これまで筆記試験中心だった公募推薦入試でも、面接や口頭試問、提出書類の扱いが変わる可能性があります。
特に注意したいのは、大学・学部ごとに対応が異なる可能性があることです。面接の有無、形式、配点、志望理由書の扱い、調査書の評価方法などは、各大学の募集要項で必ず確認する必要があります。
「年内入試=早く受けられる学力試験」と単純に考えるのではなく、今後は「学力に加えて、志望理由や適性も評価される入試」と考えて準備することが重要です。
まとめ
2027年度大学入試から、総合型選抜・学校推薦型選抜では、面接による評価が原則として必須になります。
この変更は、年内入試をなくすためのものではありません。学力試験だけに偏った年内入試を見直し、総合型選抜・学校推薦型選抜を本来の趣旨である多面的・総合的な評価に近づけるためのものです。
受験生にとっては、筆記試験対策に加えて、志望理由書、活動報告書、面接対策の重要性が高まります。特に公募推薦入試を考えている場合は、各大学の最新の募集要項を確認し、面接の形式や配点、提出書類の扱いを早めに把握しておくことが大切です。
なお、入試制度は大学ごとに細かな違いがあります。実際に出願を検討する際は、必ず各大学の公式ホームページおよび最新の募集要項をご確認ください。
出典
【出典1】文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
総合型選抜・学校推薦型選抜における面接評価の必須化、面接形式、本人記載資料の活用、非公募型推薦に関する例外などを確認。
【出典2】大学入学者選抜協議会「大学入学者選抜実施要項の遵守についてのお願い」
2月1日前に実施される教科・科目に係る個別テストの扱い、学力検査に偏った年内入試への問題意識、「一般選抜の前倒し」との指摘を確認。
【出典3】文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」
総合型選抜・学校推薦型選抜による入学者数と割合を確認。

