高校授業料無償化の拡充—政府と維新の主張の違いを整理
石破茂首相は、高校授業料の無償化に関する方針を発表しました。特に私立高校への就学支援金について、2026年度から所得制限を撤廃し、支給額を引き上げる方針を示しました。しかし、政府と日本維新の会(維新)では、支援金額などの点で意見が分かれています。
政府は、全国の平均授業料を基準に支援額を調整する方針を示していますが、維新は大阪府の制度を参考に、より高額な支援を求めています。また、低所得世帯向けの奨学給付金の対象拡大も議論されており、政府側の慎重な調整に対し、維新は早期拡充を主張しています。
政府と維新の主張の違い
論点 | 政府の方針 | 維新の主張 |
---|---|---|
所得制限 | 2026年度から撤廃 | 早期撤廃を求める |
私立高校の支援金 | 年45万7000円(全国平均授業料を基準) | 年63万円(大阪府と同水準)を要求 |
低所得世帯の奨学給付金 | 年収590万円未満まで対象拡大を検討 | より広い範囲での拡充を求める |
2025年度の先行措置 | 年収910万円未満の世帯に公立高校の授業料相当(11万8800円)を支給 | さらに大きな支援策を要求 |
専門高校の支援 | 一部施設整備を検討 | 水産・農業高校の施設整備を積極的に推進 |
政府の提案のポイント
- 2026年度から私立高校の就学支援金の所得制限を撤廃
- 支給額を45万7000円に引き上げ(現在の39万6000円から増額)
- 2025年度には先行措置として、公立・私立問わず11万8800円を支給
- 低所得世帯向けの奨学給付金の拡充を検討(年収590万円未満まで対象拡大)
- 専門高校(農業・工業・商業、水産など)の施設整備支援を強化
- 非課税世帯の高校生への奨学給付金を拡充し、総支給額を最大61万円に引き上げる可能性
維新の主張と課題
- 私立高校の支援金を63万円に引き上げるよう要求
- 低所得世帯へのさらなる支援拡大を求める
- 党内では、政府案を容認する声と慎重な意見が対立
- 水産・農業高校の施設整備支援を積極的に推進
- 2025年度予算案への賛成をめぐる調整が続く

画像出典 朝日新聞社
背景と今後の見通し
政府の提案は、維新が求める水準には届いていないものの、支援の幅を広げる動きとして一定の評価を受けています。しかし、維新内部では意見が分かれており、特に支援額の引き上げ幅についての合意形成が課題となっています。
さらに、日本維新の会の前原誠司共同代表は、自民党から新たな提案があったことを明かしました。その内容として、水産・農業高校の施設整備や非課税世帯の高校生への奨学給付金拡充が含まれており、支給額の合計は最大61万円になる見通しです。
政府・与党と維新の協議は今後も続き、2025年度予算案への維新の賛成を取り付けるための交渉が行われる見通しです。特に、政府案の最終的な調整が維新の求める支援策にどこまで近づけるかが注目されます。
高校授業料無償化の拡充は、多くの家庭に影響を与える政策であり、今後の国会での議論が重要となります。引き続き、この政策の行方を注視していきます。
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