高校選びは大学受験を視野に入れて

高校選びは、偏差値や進学実績だけでなく、大学受験を見据えましょう。多様化する入試に対応するには、受験前の準備が重要で、高校選びもその一環です。お子さまの得意・不得意や性格に合った環境を選び、将来の選択肢を広げましょう。

目次

「大学受験を見据えた高校選び」とは?

高校選びは、偏差値や進学実績だけで決めるものではなく、大学受験を見据えた高校選びを推奨しています。

では、「大学受験を見据えた高校選び」とはどういうことでしょうか。昨今の大学入試は、一般選抜(旧・一般入試)だけでなく、総合型選抜(旧・AO入試)や学校推薦型選抜(旧・推薦入試)など、多様な方式が存在します。そのようななかで、偏差値や進学実績だけでなく、生徒の得意・不得意や性格などを考慮し、どの入試方式が適しているのかを見極め、それに合った高校を選ぶことを指します。

親世代子世代
大学入試大半が一般入試多様な入試
高校選びの基準偏差値、進学実績生徒の個性、入試制度

多様な大学入試方式

ここで、大学入試の主な方式をおさらいしましょう。

入試方式の比較表
入試方式 詳細 評定値の影響
一般選抜型選抜 学力試験(筆記試験)を中心に合否が決まる入試方式
国公立大学は、一次試験は共通テスト、二次試験は個別学力試験を受験。5教科受験が多い。
私立大学は、試験方式は多岐にわたるが、3教科受験が多い。
なし
学校推薦型選抜 指定校推薦
大学が特定の高校に対して推薦枠を提供し、その高校の生徒が校内選抜を経て推薦を受けられる入試方式
あり
公募推薦
大学が全国の高校から広く推薦を受け付ける方式
あり
総合型選抜 AO入試。学力試験だけでなく、小論文や面接などで「人物評価」を重視する入試方式
あり

私立大学でもさまざまで、早慶、上智、MARCH、関関同立などのいわゆる「難関私大」では一般選抜がメインで、「準難関私大」以下の大学では一般選抜以外の学校推薦型選抜の取り扱いが地域によって異なります。

「準難関私大」以下の大学の学校選抜型入試

日東駒専以下
(関東)
産近甲龍以下
(関西)
総合選抜メイン公募推薦メイン
総合選抜も増加

表からわかるとおり、入試方式によって必要とされるものがことなります。

入試方式一般選抜非一般選抜
必要とされるもの学力評定値(内申点)など

したがって、学力が十分でないまま一般選抜での受験を選んだり、評定値を重視するにもかかわらず競争の激しい高校を選んでしまうなどのミスマッチを避けることが重要です。

高校選びの具体的な判断基準

では、具体的な判断基準を紹介しましょう。

➀ 英語

  • 判断基準
    • 大阪:五ツ木模試
    • 他都道府県:地元で信頼されている模試
  • ポイント
    • 偏差値65以上:一般選抜などどのような入試にも対応可能
    • 偏差値60~65:一般選抜で「難関私大」、地方国公立大学にギリギリ届きそうなレベル
    • 偏差値55~60:学校推薦型選抜、総合選抜型で「準難関私大」を目指す方が効率が良い。
    • 偏差値55以下:学校推薦型選抜、総合選抜型

以上より、英語の偏差値が60以下の生徒なら、評定値を「稼ぐ」ことができる、自分の実力以下の高校を選ぶ方が無難です。

➁ 英語以外の教科

  • 判断基準
    • 英語以外の主要科目(国数理社)の成績が安定しているか
  • ポイント
    • 全体的にバランスが取れている → 一般選抜(共通テスト)向き⇒国公立大学も視野に
    • 苦手科目あり
      →数学⇒私立大学
      →暗記科目⇒学校推薦型もしくは総合型選抜

英語を含めて、どの科目もまんべんなくできるのなら、国公立大学受験を視野に。
数学が苦手でも英語が得意なら一般選抜で難関私大。英語も苦手なら非一般選抜をすすめます。
一般選抜では文系理系を問わず、膨大な量の暗記が必要です。すなわち、暗記科目が苦手ならば不利に。非一般選抜型で大学を目指す方が効率的です。

➂ 提出物など授業態度

  • 判断基準
    • 提出物など授業態度が安定しているか
  • ポイント
    • 提出物を出せる → 評定値が稼ぐことができる⇒非一般選抜で有利になるな可能性
    • 出さない → 評定値が稼ぎにくい⇒非一般選抜で不利になる可能性

学校推薦型選抜、総合型推薦では評定値が高い方が有利に働くことが多く、提出物などの授業態度がキッチリできない子は当然不利になります。

性格

  • 判断基準
    • 「自分」を持ち、周りに流されないか
    • 上昇志向の有無
  • ポイント
    • 「自分」を持ち、周りに流されないか→自分の意志が強い → レベルが下の学校でも雰囲気に流されない
    • 上昇志向あり→レベルが高い学校でもついていくことができる場合がある

評定値を稼ぐために、実力以下の高校を選んでも周りの雰囲気に流されてしまう子がいます。逆に上昇志向しだいでは、実力以上の高校であっても「戦う」ことができます。

➄ 本番力

  • 判断基準
    • 定期テストの結果と模試の結果の比較
  • ポイント
    • 定期テストは良いが、模試や入試で失敗しやすい→本番に弱い可能性

一概には言えませんが、定期テストと模試を比較したとき、模試の結果が芳しくない場合、本番に弱い可能性があります。そのような子は、学校選抜型の指定校推薦をすすめます。

以上の基準以外にも、通学距離、経済的な条件、世間体など各ご家庭により基準が異なります。

過去の指導事例

高校3年生の4月にご依頼をいただいた生徒の事例です。高校受験の際、大学受験を視野に入れず、偏差値だけで高校を選んだ結果、進路の選択肢が限られてしまいました。高校選びの段階で受験方式を考慮することが、将来の大学受験を有利に進める鍵となります。

中学時代

中学時代は英語が苦手で、偏差値は55程度でした。一方で、数学・理科・社会が得意だったため、それらの科目で得点を稼ぎ、当時通っていた大手塾の勧めもあり、偏差値60ほどの公立高校を受験し合格しました。

この生徒に偏差値60の公立高校を勧めた理由が謎である。大手塾は生徒の「個」を把握せず、成績のみで進路指導を行っていることがよくわかる。
もしわたしが指導していたなら、英語が不得意である点を考慮し、成績上位を狙えるより偏差値の低い高校を勧めていただろう。そして、指定校推薦を利用して関関同立を目指すよう促したはずである。

高校時代

偏差値60の高校には、偏差値60の生徒だけでなく、それ以上の学力を持つ生徒も多く在籍しています。その中で高い評定を取ることは容易ではなく、結果として評定値は3.0にとどまりました。これでは指定校推薦を狙うことは難しく、また、中学英語ですらおぼつかない状態では、一般選抜で戦える英語力には到底達していませんでした。

そして、高校3年生の4月にご依頼をいただきました。ご家庭の希望は「なんとしても関関同立(最低でも関西大学)」でしたが、中学レベルの英語が不安定な状態では、一般選抜での合格は厳しいと判断。そこで、公募推薦で産近甲龍を目指すことを提案しました。科目数が少なく、集中して学習に取り組めるからです。

また、ノルマとして定期テストで英語70%以上の達成を設定しました。これは、入試で求められる得点率が約70%であり、より易しい定期テストでこれをクリアできなければ、本番での達成は難しいと考えたためです。

以上の条件を受け入れていただき、指導がスタート。最初は中学英語の復習から始めると同時に、定期テスト対策にも取り組みました。

結果として、目標通り産近甲龍に合格。適切な目標設定と戦略的な受験方法の選択が、合格につながりました。

もし高校選びの段階で適切な判断がなされ、高校入学後に十分なサポートが受けられていれば、指定校推薦で関関同立を狙うことも十分可能だったでしょう。進路選択は、学力だけでなく個々の特性を考慮し、将来を見据えた戦略的な視点が求められることを、改めて実感したケースでした。

まとめ

大学受験には一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜など多様な方式があり、高校ごとに対応しやすい入試方式が異なります。そのため、高校受験の際には、偏差値や進学実績だけでなく、生徒の個性や学習スタイルに合った高校を選ぶことが重要です。

また、入試方式の違いによって求められる力も異なるため、将来の受験を見据えた高校選びが必要になります。高校選びの段階で適切な選択をすることで、受験時の選択肢を広げ、無理なく自分に合った進路を目指すことができます。


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