立命館宇治中学などの自己推薦での合格を目指す生徒にとっては、五ツ木・駸々堂模試〈特別回〉は、残り少ないチャンス。
この特別回の算数は、平均点が高めに出やすい一方で、得点のばらつき(標準偏差)も大きくなりやすいという特徴があります。
特別回2019年から2024年のデータを整理し、算数の平均点と標準偏差の関係を解説します。
五ツ木・駸々堂模試〈特別回〉算数の特徴
五ツ木・駸々堂模試〈特別回〉算数の平均点と標準偏差
※特別回の算数は、例年 標準偏差が20前後と大きいのが特徴です。平均点は年度差があり、50点超の年もありました。
平均点と標準偏差の意味
- 平均点 … 受験者全体のおおよその水準
- 標準偏差 … 点数の散らばり具合(大きいほど、上位と下位の差が大きい)
標準偏差が小さい(15前後)ときは多くの生徒が平均点付近に集まります。
一方、標準偏差が20を超えると、上位層は高得点、下位層は低得点に分かれ、得点のばらつきが大きいことを意味します。
標準偏差と平均点の関係(一般論)
標準偏差と平均点は独立した指標で、必ずしも一方が決まれば他方も決まるわけではありません。
実際のテストでは、次のようなパターンが見られます。
- 標準偏差が大きい & 平均点が低い
→ 難問中心で、多くが点を落とす一方、上位層は得点して差が広がる。 - 標準偏差が大きい & 平均点が高い
→ 基礎〜標準問題は多くが取れるので平均は上がるが、応用問題で大きく差がつくため散らばりも大きい。 - 標準偏差が小さい & 平均点が高い
→ 全員がよくできる確認テスト型。80点前後に得点が集中する。 - 標準偏差が小さい & 平均点が低い
→ 全員が苦戦して30点前後に固まるケース。
去年(2024年)の特別回の算数は?
2024年は算数の平均点が 52点 と高水準でした。
しかし同時に、過去の傾向から見ても 標準偏差は20前後の「大きい」水準だったと推測されます。
これは「平均が高いのに、ばらつきも大きい」という一見矛盾した状態です。
なぜそうなるのでしょうか?
「平均が高い × 標準偏差も大きい」が起きる理由
1. 上位層が多く受験して平均が押し上がる
特別回は難関校志望の受験生が多数参加します。上位層は基礎・標準だけでなく応用問題も取り切るため、全体の平均を押し上げる力が働くのです。
2. ただし母集団は幅広く、下位層も一定数含まれる
特別回は受験者数が多く、学力層の幅も広いのが特徴です。下位層は基礎でつまずいたり応用で失点したりするため、得点の散らばりが大きくなる=標準偏差が高くなるのです。
3. 具体的なイメージ
仮に「上位30%が平均80点、中位40%が平均55点、下位30%が平均20点」とすると、全体の平均はちょうど52点になります。
このように平均が高くても、上位と下位の差が大きければ標準偏差も大きくなるのです。
【2025年】五ツ木・駸々堂模試〈特別回〉算数対策
2025年の五ツ木・駸々堂模試〈特別回〉の算数も標準偏差が高いことが予想されます。では、どのような対策をすればいいでしょうか。
カギになるのは大問3と4(図形)、大問6(文章題)。大問5は対策がとりづらい問題が出されることがある一方、図形と文章題は比較的対策しやすいはずです。大問1と2を落とせないことは当然です。
指導の視点から
算数は「平均点が高いから安心」とは言えない科目です。
むしろ標準偏差が大きいほど、数点の差が偏差値に直結し、順位を大きく動かします。
私の指導では、
- 基礎問題の取りこぼしを防ぐ
- 標準問題を確実に得点源にする
- 難問は「取れれば加点」と割り切る
この3点を徹底しています。
模試を振り返る際も、点数だけでなく「どのレベルの問題で失点したか」を確認することが重要です。
まとめ
- 算数は平均点が高い年でも標準偏差が大きく、差がつきやすい
- 今回のようなケースは「上位層が平均を押し上げつつ、下位層もいて得点が散らばる」構造
- 大切なのは「偏差値」と「答案分析」から学習の優先順位を見直すこと
五ツ木・駸々堂模試を正しく読み解くことが、次のステップにつながります。